第5教室:『ナナ』(エミール・ゾラ)『椅子直しの女』学習済み

エミール・ゾラの『ナナ』を読みながらフランス語学習をする日記です.よろしくお願いします.

椅子直しの女(30)(モーパッサン短編集より)


椅子直しの女(30)
LA REMPAILLEUSE


—————————【30】——————————————

Ces  larmes  d'un  petit  bourgeois,  d' un de  ces  petits  
qu' elle  s' imaginait  dans  sa  frêle  caboche  de  déshé-
ritée,  être  toujours  contents  et  joyeux,  la  boulever-
sèrent.   

——————————(訳)——————————————

小資産家の少年の涙、彼女が恵まれないか弱い頭の中で
いつも満足していて楽しいと考える子供たちのひとりの
涙が彼女の気もちを揺り動かしたのだった.


.—————————〘語句〙——————————————
        
petit bourgeois:小市民階級、有産階級      
frêle:(形) か弱い、きゃしゃな、かぼそい  
caboche:(f) [多くは悪い意味で] 頭、物分かり、
     記憶力    
déshérité(e):(形) 相続権を奪われた、
    恵まれない、惨めな       
bouleversèrent:(単純過去3複) < bouleverser [ブールヴェルセ]   
bouleverser:(他) 覆す、(気もちを)動転させる


.—————————≪構造≫——————————————

主語はces larmes、動詞はbouleversèrent、目的格補語は
la (11歳の女の子)
「涙が11歳の少女の気もちを動転させた)
これに手足尾ひれをつけていきます.petit bourgeois は
辞書をくると、プチブル、小市民などですが、ここでは
petit は子供、petit bourgeois は「ブルジョワの子供」と
解釈しましょう.それが自然だと思います.  
s' imaginait は「思い描く」の半過去3人称単数、se に惑
わされず、他動詞imginer のつもりで解釈しましょう. 
その構造は
 elle s' imaginait ces petits être toujours contents et joyeux
  (彼女はこの子供たちがいつも満足して楽しくしている
 と思っていた)
 
  今度はこの文が関係代名詞で「子供たち」を形容する
文になります.
Ces larmes d'un de ces petits qu'elle s'imaginait être  
toujours contents et joyeux
彼女がいつも満足気で楽しく過ごしていると思っている
子供たちのひとりの涙

これ全体が主語で、その述部は, la bouleversèrent.   
(それが)彼女を動転させていた.

つなぎますと
彼女がいつも満足気で楽しく過ごしていると思っている
子供たちのひとりの涙が彼女を動転させていました.

あとの尾ひれは各自付け足して下さい.基本構造は
以上です.